子ども若者ネット K-LABO 「『労働者協同組合法』に関する学習会」に参加して
1月22日に実施した、こおりやま子ども若者ネット主催企画、「K-LABO『労働者協同組合法』に関する学習会」の様子を個人加盟してくださっている遠藤真弘さんが感想をまじえて書いてくださいました。遠藤さんの文書をご覧ください。
1 参加動機
不登校児童生徒の多くは、居場所をネットの世界に求めている。従って、彼らはパソコンやスマホについてはプロ級の知識と技能を身に付けている。私の知るAさんも、わざわざPCを上海に特注するほどの腕前だ。この能力を生かして生きる自信を持ってもらうことができないかと、いつも考えている。
さて、昨年5月、コロナワクチン接種の予約ができないで困っているお年寄りが多数いた。無理もない。なんとスマホがない人は予約ができなかったのだ。(電話は込んでいてつながらない。つながったときにはすでに予約満杯。高齢者の実態をよくわかっていたのは、日時指定の相馬市だった。)
そんな時、テレビに、ボランティアの大学生が役所を訪れたお年寄りに接種希望日程を聞きながら、パソコンで予約のお手伝いをしている場面が放映された。
「これだ。」と直感した。私の経験からすると、子ども・若者とお年寄りの相性はとてもいい。もうすでに時代はSociety5.0 だが、一昔前のSociety4.0 (情報社会) にすら追いついていない高齢者は少なくない。ガラケーがなくなると、家族や友人とのコミュニケーション手段に支障をきたす高齢者が続出することも想像に難くない。
しかし、居場所を求めている若者(不登校児童生徒及び経験者)の強みを生かすこと、つまり若者が得意のPCやスマホを便利なツールとして活用できるように高齢者を支援することによって、時代から取り残されそうな高齢者と社会をつなぐことが可能になる。結果、高齢者も、居場所を求めている若者も、win winの関係になり、ともに住みやすい社会になるのではないか。
その糸口を『労働者協同組合法』に見つけたいと思い、このK-LABOに参加した。
2 学習会の様子(概要)
〇 参加者15名+リモート参加2名
(1) いつものようにアイスブレイクを兼ねての自己紹介(参加動機を加えて)
(2) 代表あいさつ いつもの慎ましい言葉が散りばめられたあいさつ
(3) 講師 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 事業団
郡山事業所 鈴木大二郎 様
センター事業団 小椋 真一 様
(4) 郡山事業所・鈴木大二郎様から(概要) *地域の必要な仕事を興すという趣旨で活動
・桑野現場 桑野協立病院(院内の清掃) こなたぼっこ(デイサービスの送迎、清掃)
なのはな(清掃、エアコンの洗浄)
・大槻現場 特老とデイサービス(清掃と送迎)
・よらんしょ大人食堂(サロンの運営、会食、外出等) *コロナのため現在休止中
(5) センター事業団・小椋真一様から(概要を羅列)
・『労働者協同組合法』成立までの経緯
2000介護保険制度や2003指定管理者制度との関わりを経て、現在はフードバンク・子ども食堂・自立支援・就労支援・学習支援の活動へと発展してきた。
・NHK「クローズ・アップ現代 プラス」で取り上げられ、話題に。
・社会的矛盾・格差を解決できる協同組合の仕組みとは?
3つの原則(出資原則・意見反映原則・従事原則)
違いを認め合い、一人一票の話し合いを重視
各人の能力を活かし、共に働くことを重視
・協同組合は3階建ての労働
3F 地域とともに貢献
2F 話し合いを通した自己実現
1F 労基法に基づく安心の労働
・実際の活動
豊島区の地域共生型就労拠点活動
登米市の「すけっちゃ」 20か所以上からの受注 等
・窓口は?
所轄は都道府県知事だが、福島県には窓口がない(届け出の実績がない)。
3 主な質疑
質 障がいのある方の中には、思っていることを口にできない方もいるのではないでしょうか?
→ お給料の話などシビアなことも話し合うことになります。たしかに、難しさはあるようです。
でも、組合員全員が対等の立場で考えることが基本です。
質 組合の運営をするにあたっては、経理の知識も必要ですか?
→ 専門的な経理の知識については、計画的な研修等が必要です。経営者の視点も必要です。でも、そこから入らなくても、いいのではないでしょうか。協同組合の中身を理解することが大切です。
質 団体の規定や規約などは作成するのですか?
→ 組織内で作成してよいと考えます。作成の仕方等については、センター事業団で相談に乗る
ことができます。
質 利益が出るまでの期間がある程度必要でしょうね。その間、どうすればいいのでしょうか?
→ たしかに、利益が出るまでの期間がある程度必要です。その間、全国の組織で支えることは可能です。
4 学習会に参加して
とても貴重な時間となりました。企画いただいた鈴木綾さん、そして講師を務めていただいたワーカーズコープの鈴木さんと小倉さんに心から感謝いたします。
でも、一方で、協同組合を立ち上げるに当たって、不安が増幅したのも事実です。次にその不安を羅列します。
・福島県ではワーカーズコープ以外に労働者協同組合がないこと。併せて、県の相談窓口が
明確でないこと。
・持続可能な事業を立ち上げないと意味がないこと。しかも、地域社会に必要な仕事を
考えねばならないこと。
・はじめは赤字でも、将来的には黒字経営にしなければならないこと。赤字をどのように
補填すればいいのか見当もつかないこと(全国組織で支援できるとはいえ、不安)。
・3人寄れば協同組合は立ち上げられるが、初期投資の資金が不足すること。
(例えば、3人×出資金10万円=30万円 ではどうしようもないのではないか。)
さあ、これからどうすればよいのか、悶々とした日々が続きます。
個人会員 遠藤真弘
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